乗用車生産、今年は歴史的低水準に 半導体不足が直撃

独自動車工業会(VDA)が今年の国内乗用車生産台数を従来予測の360万台から290万台へと大幅に引き下げた。半導体不足に起因する生産調整を踏まえたもので、過去最高となった2016年(575万台)と比べるとほぼ半減する。コロナ禍で低水準に落ち込んだ昨年(350万台)に比べても18%低く、第一次石油危機の余波が残る1975年以来の低水準だ。広報担当者の確認を得た情報として『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が6日付で報じた。

半導体不足は深刻で、すべての乗用車メーカーが生産調整を余儀なくされている。ステランティスの独子会社オペルはアイゼナハ工場の操業を少なくとも年末まで停止する。

今年の国内生産台数を月別でみると、3月から5月までは前年同月を上回っていたものの、6月に減少へと転換。減少幅は月を追うごとに拡大しており、9月は44%に達した。

年初からの累計生産台数をみても、8月までは前年同期を上回っていたものの、1~9月は前年同期比3%減と縮小へと転じた。VDAが21年通期で前年比18%の減少を見込んでいることを踏まえると、前年同月比の減少幅は10月以降も高水準で推移する見通しだ。

生産減の原因となっている半導体不足は長引く公算が高い。生産された半導体が車両に搭載されるまでの期間は30~40カ月に上るためだ。

電動車に搭載される半導体の数は内燃機関車を大幅に上回る。このため電動車需要の急増は事態に追い打ちをかけている。

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