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2021/10/20

企業情報

フォルクスワーゲン―ディース社長が従業員3万人削減を検討―

この記事の要約

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長が従業員の大規模な削減を検討していたもようだ。13日付の経済紙『ハンデルスブラット』が監査役の情報をもとに報じたもので、9月24日の監査役会で最大3万人の削 […]

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長が従業員の大規模な削減を検討していたもようだ。13日付の経済紙『ハンデルスブラット』が監査役の情報をもとに報じたもので、9月24日の監査役会で最大3万人の削減を提案したという。

同紙によると、ディース社長は競合メーカーに比べコストが高いことを指摘。自身が高級車大手BMWの管理職として英国で勤務していた当時、BMWの経営陣が適切な措置を取らず、労組も刷新を阻止した結果、バーミンガムの拠点は閉鎖されることになったとして、人員整理でコストを引き下げることの意義を強調した。

VWではヴォルフスブルク本社工場を自動車業界の構造転換に合わせて近代化したい考えだったが、グループ従業員の代表として大きな影響力を持つベルント・オスターロー監査役(今年4月末で退任)に阻止され断念した。同社長はこれを誤りだったと考えているという。

VWのコストが高いという問題は監査役会内で共有されている。ただ、監査役会はディース社長の提案を行き過ぎた措置と受け止め、同提案を公言しないよう同社長に命じたという。

ディース社長は14日、人員整理を考えていないと述べたものの、そうしたシナリオを9月24日の監査役会で示したのは確かなようだ。VWは13日、人員削減に向けた具体的な計画はないとしつつも、拠点の稼働率について集中的に協議しなければならないことを明らかにした。

VWには地元ニーダーザクセン州が大株主として出資していることから、一般の企業に比べ従業員の代表機関である事業所委員会の力が強いという事情がある。州政府は地域の雇用を守ることを重視。同社の人員削減には否定的だ。