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2021/10/27

総合 - ドイツ経済ニュース

コロナ新規感染者が急増、冬季に医療サービス制限の懸念も

この記事の要約

独ロベルト・コッホ研究所(RKI)が22日発表した新型コロナウイルスの人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)は前日(85.6人)から約10人増の95.1人となり、5月中旬以来の高水準に達した。増加 […]

独ロベルト・コッホ研究所(RKI)が22日発表した新型コロナウイルスの人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)は前日(85.6人)から約10人増の95.1人となり、5月中旬以来の高水準に達した。増加はその後も続いており、23日には100人を記録。26日時点で113.0人に達した。秋の進展とともに気温が低下し、感染が拡大しやすくなっている。RKIは最新の週報で、「秋と冬が今後、進むにつれて感染者数の増加はさらに加速する」との見方を示した。

ドイツでは感染力の極めて高いデルタ変異株の流行を受けて新型コロナ感染の第4波が8月中旬に始まった。新規感染者数は9月中旬に一度、減少に転じたものの、最近は再び急増。RKIが22日に発表した新規感染者数は1万9,572人となり、1週間前の15日(1万1,518人)を70%上回った。

感染者数は児童と青少年層で特に高い。12歳未満はワクチンの接種を受けらず、12~18歳も接種完了率が40%未満と低いことが背景にある。10月11~17日の週(第41週)の7日間の発生数が最も高い年齢層は10~14歳で182人に達した。これに5~9歳が135人、15~19歳が123人、20~24歳が107人で続いている。

一方、60~89歳はすべての年齢層で50人未満にとどまる。60歳以上では接種率が85%と高いことが大きい。ただ、90歳以上では第41週に64人となり、5月中旬以降で初めて50人を超えた。超高齢者はワクチンの効果が若い年齢層に比べ低いうえ、接種開始時期が早かったことからワクチンの効果が弱まっているという事情が背景にある。追加免疫(ブースター)接種を速やかに進めることが緊急の課題となっている。

7日間の発生数(26日)を州別でみると、テューリンゲン(235.7人)、ザクセン(191.7人)、バイエルン(186.7人)の3州で全国平均(113.0人)を特に大きく上回っている。このうちテューリンゲンとザクセンは接種完了率(人口比)がそれぞれ60.3%、56.4%と全国平均(66.3人)を大幅に下回る。感染リスクの高い非接種者が多いことが、7日間の発生数を押し上げている可能性がある。

ワクチン接種の完了率が比較的高いことから、重症化する患者はピーク時に比べて少ない。人口10万人当たりの直近7日間の新型コロナ入院患者数は2.95人で、昨年12月に記録した過去最高(15.5人)を大幅に下回っている。コロナ感染者による集中治療病床使用率は25日時点で7.6%にとどまった。

ただ、ワクチン接種を受けていない人が少なくないうえ、ワクチンの効果は時間の経過とともに弱まることから、今後は入院する感染者が確実に増える見通しだ。独集中・緊急医療学際協会(DIVI)は市民への医療サービスが今後、大幅に制限される恐れがあるとしている。

集中治療ステーションで働く人は減少している。コロナ患者への対応で疲れ、退職するスタッフが増えているためだ。国内で現在、使用できる集中治療ベッドは2万2,207床で、年初の2万6,475床から大幅に減少した。冬季にはインフルエンザなど他の気道感染症で集中治療を受ける患者も増えることから、ドイツの集中治療体制は今冬も厳しい局面が予想される。

全国レベルの規制は11月下旬で終了か

こうした状況のなか、イエンス・シュパーン連邦保健相が「全国的なエピデミック状況」認定を更新せず、11月25日付で失効させる意向を表明したことは波紋を広げている。議会の承認を得ずに州政府が感染防止策を打ち出すことができなくなるためだ。

全国的なエピデミック状況認定は感染防止法で定められたルール。感染症の流行が深刻な場合、連邦議会の決議で認定を行う。有効期間は3カ月で、必要がある場合は議会がその都度、延長決議を行う。

全国的なエピデミック認定は新型コロナ感染の流行が始まった昨年3月から継続的に行われてきた。州政府はこれに基づいて、マスク着用や社会的距離、接触制限、2G/3Gなど人権を部分的に制約するルールを州議会の承認なしに導入することができた。

シュパーン保健相は同認定を更新しない根拠として、ワクチン接種完了者は感染しても重症化するリスクが低いとするRKIの見解を挙げた。全国的なエピデミック認定がなくても各州は州議会の決議でコロナ制限措置を独自に実施できると指摘。感染防止に必要な規制を今後は州レベルで取り決めれば良いとしている。

ただ、州レベルの規制では州によるルールのばらつきが大きくなるうえ、感染防止策を機動的に実施できなくなる恐れがあることから、州サイドは同認定の継続を要求している。