大規模な域外インフラ投資計画、「一帯一路」に対抗し欧州委が発表

欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、EU域外での大規模なインフラ投資計画「グローバル・ゲートウェイ」を発表した。2027年までに最大3,000億ユーロを投じ、途上国などのデジタル化や気候変動対策、エネルギー、交通といった分野のインフラ整備を推進する。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗し、民主主義の価値観に基づく透明で質の高い投資の促進を目指す。

欧州委のフォンデアライエン委員長は9月に行った施政方針演説で、対外関係の柱の1つとしてグローバル・ゲートウェイ構想を明らかにしていた。中国の一帯一路政策では、途上国が資源開発などで巨額融資を受けた後、返済できずに権益譲渡を迫られる「債務の罠」が問題視されている。EUはこれに対抗し、透明性や相互理解に基づく持続可能なインフラ投資を推進し、世界の国々との連携を強化して影響力を高める狙いだ。

発表によると、投資計画はEUとEU加盟国、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)などが共同で実施し、民間資金も積極的に活用する。高速通信規格「5G」やクラウドなどのデジタルネットワーク、再生可能エネルギー、鉄道・道路・港湾などの交通網、医療、教育など幅広い分野のインフラが投資の対象で、欧州委は域内におけるサプライチェーンの強化など、EUも利益を得られると説明している。

また、途上国などで欧州企業が多額の国家補助を受ける域外国の企業との競争にさらされている現状を踏まえ、「欧州輸出信用ファシリティ」を立ち上げて資金・戦略面で欧州企業をサポートし、インフラ投資プロジェクトへの参入を促進する。

フォンデアライエン委員長は「EUは民主主義の価値観と国際的な基準に沿って、質の高いインフラ投資を後押しする。持続可能で質の高い投資計画を実行する、信頼できるパートナーが求められている」と発言。グローバル・ゲートウェイは中国の一帯一路構想に対する「真の代替案」だと強調した。

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