欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は6日、スイス製薬大手ロシュの抗リウマチ薬「ロアクテムラ」を域内で新型コロナウイルス感染症の治療薬として使用することを勧告した。欧州委員会による承認を経て、コロナ患者への投与が開始される。
ロアクテムラは免疫調節薬で、炎症を引き起こすタンパク質「インターロイキン6」の働きを阻害することで重症化を抑える。ロシュ傘下の中外製薬が開発した。EMAは重症化して入院している成人患者のうち、副腎皮質ステロイド治療を受け、酸素吸入や人工呼吸器が必要となっている患者への使用を勧告した。
EMAは重症化して入院した4,116人の患者を対象とした治験で、ロアクテムラを投与した患者の死亡率が通常治療だけを受けた患者と比べて低く、回復も早いという結果が出たことから、新型コロナ感染症への転用を認めた。
これまでにEUは新型コロナ治療薬として、米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」、ロシュと米バイオ医薬品企業リジェネロン・ファーマシューティカルズが共同開発した「ロナプリーブ」、韓国の製薬会社セルトリオンの「レッキロナ」を承認していた。