英のEU離脱で独社の現地事業に支障

欧州連合(EU)からの英国の離脱移行期間終了から1年が経過した現在、同国で事業を展開するドイツ企業の活動に支障が出ていることが、独商工会議所連合会(DIHK)の会員企業アンケート調査で分かった。DIHKのフォルカー・トライヤー貿易部長は「ドイツ・英国間におけるモノとサービスのスムーズな交換は共同の域内市場からの英国の離脱によりますます行われなくなっている」と述べた。

英国は2020年1月末にEUを離脱。同年12月末には移行期間も終了し、同国はEU域内市場と関税同盟からともに離脱したことから、人、モノ、サービス、資本を英・EU間で自由に移動させることができなくなった。

DIHKが英国で事業を展開する会員企業70社を対象に実施したアンケート調査では、「通商障壁、英国企業の優遇」があるとの回答が43%に上った。「サプライチェーン・物流に問題がある」は85%に達する。

「現地で専門人材を確保するのが難しい」は55%と過半数に上った。英国ではトラック運転手などが不足しているうえ、EU域内からの人材派遣も移民規制の強化、事務手続きの煩雑化が大きな障壁になっている。

16年のEU離脱決定以降、英独間の通商は縮小しており、英国はドイツの貿易相手国ランキングで5位から10位(21年)へと後退。輸出先国ランキングでも3位から8位へと落ち込んだ。

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