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2022/2/2

総合 - ドイツ経済ニュース

インフレ率の下げ幅小さく、1月は事前予測を上回る4.9%に

この記事の要約

ドイツ連邦統計局が1月31日に発表した同月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比で4.9%上昇した。上げ幅は1992年6月以来の高水準となった前月(5.3%)を下回ったものの、水準自体は依然とし極めて高く、エコノミストの […]

ドイツ連邦統計局が1月31日に発表した同月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比で4.9%上昇した。上げ幅は1992年6月以来の高水準となった前月(5.3%)を下回ったものの、水準自体は依然とし極めて高く、エコノミストの事前予測平均(4.3%)を大幅に上回った。1月以降はこれまで物価を押し上げていた特殊要因がなくなりインフレ率が大きく低下すると予想されていたが、差し当たり期待外れにとどまっている。欧州最大の経済規模を持つドイツで今後も高インフレが続けば、金融緩和を継続する欧州中央銀行(ECB)に対する政策転換圧力は一段と高まりそうだ。

ドイツではコロナ禍で悪化した景気の底入れ策として2020年7月から12月までの半年間、付加価値税率が引き下げられた。その反動で21年下半期は前年同月比のインフレ率が押し上げられていた。今年1月からはこの反動の影響がなくなったため、インフレ率が大きく低下すると予想されていた。

だが、前月からの低下幅は0.4ポイントと小さい。食料品の上げ幅は6.0%から5.0%へと縮小したものの、エネルギーは18.3%から20.5%へと拡大した。輸入価格の高騰が続いているほか、1月1日付で自動車・暖房用燃料の炭素税が引き上げられたことが響いた。炭素中立実現に向けた国の政策がエネルギー価格を押し上げている。

サービス価格は前年同月を3.0%上回った。上げ幅は前月を0.1ポイント下回ったものの、依然として大きい。仕入れやエネルギー価格の上昇分が顧客に転嫁されている。

エネルギーの世界的な値上げりと原材料・部品不足に伴うメーカーの生産調整は上流物価の高騰につながっている。ウクライナ危機に伴うロシア産天然ガス・原油の供給不安や、中国のゼロコロナ政策もマイナス要因だ。これらの問題が続く限り、インフレ率は高止まりする恐れがある。

1月の消費者物価指数は前月比でも0.4%上昇した。

欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が5.1%、前月比が0.9%だった。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のペーター・アドリアン会長は『ライニッシェ・ポスト』紙のインタビューで、「インフレ率はすでに約30年来の高水準に達した」と指摘。企業の原料調達・エネルギー・輸送コスト負担が増えているとして、ECBに対し次回の金融政策会合で利上げのサインを出すよう強く要請した。「弱いユーロはエネルギーの輸入価格を一段と押し上げる」としている。

インフレ率は今後、低下していくため今年は利上げの必要がないというのがECBのこれまでの見解だ。3日に開催される次回の金融政策決定会合でもこの立場を変えないと目されている。