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2022/2/9

総合 - ドイツ経済ニュース

1日で25万人が感染、医療や物流中心に人手不足

この記事の要約

独ロベルト・コッホ研究所(RKI)が4日発表した新型コロナウイルスの前日の新規感染者数は24万8,838人となり、3日連続で過去最高を記録した。感染力の極めて高い変異株オミクロンが主流となったことで増加に歯止めがかからな […]

独ロベルト・コッホ研究所(RKI)が4日発表した新型コロナウイルスの前日の新規感染者数は24万8,838人となり、3日連続で過去最高を記録した。感染力の極めて高い変異株オミクロンが主流となったことで増加に歯止めがかからない状態だ。検査機関と保健所の対応能力が限界に達していることや、オミクロン株は軽症や無症状が従来株に比べ多いことから実際の感染者数はこれを大きく上回るとみられる。感染ないし濃厚接触で隔離を命じられる人が増加しているため、医療機関や公共交通機関、一般企業で人手不足が深刻化し始めている。

人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)は8日時点で1,441.0人となり、こちらもこれまでに引き続き過去最高を更新した。最も人数が多い州はバイエルンで1,819.1人に上った。ヘッセン(1,664.0人)、ブランデンブルク(1,660.8人)、ベルリン(1,640.4人)がこれに続く。日系企業が多いノルトライン・ヴェストファーレンは1,485.0人と平均をやや上回る水準。国内16州のうち13州で1,000人を超えており、最低のテューリンゲンでも774.5人と極めて多い。

国内411地域のなかで7日間の発生数が最も多いのはミュンヘン西方のフュルステンフェルトブルック郡で4,031.3人に達した。これにベルリンのシャルロッテンブルク・ヴィルマースドルフ区が3,509.2人で続く。ベルリン以外の主要都市ではフランクフルトが2,463.7人で7位となっている。

人口10万人当たりの直近7日間の新規入院者数は5.60人で、前日の5.41人から増加した。長期データを見ると、1月18日の3.17人を直近の底に増加傾向が続いている。

新型コロナ患者による集中治療病床使用率は7日12時15分時点で10.6%だった。1月下旬までは低下傾向にあったが、同27日以降は10%前後で推移している。

新型コロナの7日の感染死者は177人だった。昨年12月中旬を直近のピークに減少傾向が続いている。

2022年第4週(1月24~30日)のPCR検査件数は254万件で、前週同様に能力の限界に達した。そのうちの40.6%が陽性となっており、陽性率は前週の32.2%から拡大。4週連続で上昇した。直近の底である21年第51週(12月20~26日)は16.3%にとどまっていた。キャパシティの関係でPCR検査を受けるのが難しい状況にあることから、実際に検査を受けるのは事前の抗原テストで陽性になった人など感染している可能性の高い人が多く、これが陽性率の上昇につながっているもようだ。州別でみると、ブレーメン、ハンブルク、ヘッセンの3州は50%を超えている。

感染力の高い亜系統「BA.2」が急増中

新規感染者に占めるオミクロン株の割合は22年第4週に97.8%(1日時点のデータ)となり、前週の94.3%(1月31日時点のデータ)からさらに上昇した。16州中14州で90%を突破。ブレーメンは100%に達した。最低はブランデンブルクで65.7%だった。これまでデルタ株が主流だったメクレンブルク・フォーポマーンもオミクロン株の割合が98.7%へと急拡大している。

オミクロン株には現在、「BA.1」「BA.1.1」「BA.2」「BA.3」の4種類の亜系統が派生している。ドイツの主流は「BA.1」で、新型コロナ感染全体に占める割合は22年第3週(1月17~23日)時点で89.2%を占めた。「BA.1」に比べ感染力の高い「BA.2」は5.1%にとどまったものの、前週の2.6%からはほぼ2倍に増えており、今後、主流となる可能性がある。

独商工会議所連合会(DIHK)が5日発表した会員企業緊急アンケート調査結果によると、従業員の欠勤が「かなり多い」との回答は25%に上った。「危機的」も4%あり、全体の3割がコロナ禍で労働力不足に直面している。業界別では医療が計47%と最も多く、これに運輸・物流が44%で続いた。製造は24%、流通は18%。流通では「危機的」と回答した企業がなかった。