バイオ医薬品大手の独ビオンテックは16日マールブルク工場で、自ら開発した移動可能なワクチン製造コンテナを公開した。高度な技術を要する伝令RNA(mRNA)ベースのワクチンをアフリカで生産できるようにする狙い。第1弾のコンテナを下半期にも現地に輸送し、その1年後から生産を開始する。
「ビオンテナ(BioNTainer)」と命名されたワクチン製造コンテナを披露した。式典にはセネガル、ガーナ、ルワンダの大統領や国際保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長、ドイツのスヴェーニャ・シュルツェ経済協力開発相などが参加。欧州連合(EU)欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は「この取り組みはパンデミックに対する我々のグローバルな戦いの真の先駆けとなる」と称賛した。
ビオンテナは作用物質を製造するモジュールと、ワクチンを製造するモジュールで構成。各モジュールはISO規格のコンテナ(2.6×2.4×12メートル)6本からなる。アフリカで製造するワクチンは現地の提携先が瓶詰と包装を引き受ける。同社は当初の生産能力が最大で年5,000万回分に上ると予想している。米ファイザーと共同開発した新型コロナウイルスワクチンだけでなく、ビオンテックが開発中のマラリア、結核ワクチンも製造できる。品質チェックは現地ラボの協力を受けて行う。
同社はビオンテナをルワンダとセネガルに引き渡す計画。南アフリカにも引き渡す可能性があるとしている。モジュール式のため、生産能力を簡単に引き上げることが可能だ。
当初は運営と人材の供給を引き受けるものの、ノウハウの移転を通して現地のパートナーが自力で事業を展開できるようにする。