自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は14日、米同業フォードとの協業を深化させると発表した。VWが開発した電気自動車(BEV)専用車台「MEB」の供給量を従来計画の2倍に拡大。フォードは同車台ベースのBEVを独ケルン工場で2モデル生産する。VWはMEBの販売量を増やすことで利益率を高め、フォードは競合に比べて出遅れいているBEV分野で新モデル投入を加速できるメリットがある。
フォードはMEBの購入量を従来計画の60万台から120万台へと拡大する。期間は6年。同車台を利用したスポーツクロスオーバー車を2023年から生産し、24年には別のスポーツクロスオーバー車の製造も開始する。
23年に生産を始めるモデルは5ドア車で、航続距離は500キロメートル。年内の公開を予定している。新BEVの投入に伴い同社はケルン工場に20億ドルを投資する計画だ。
フォードが欧州市場向けBEVをVWの車台を用いて生産する背景には、欧州連合(EU)の排ガス規制が強化されることがある。同規制を遵守するためにはBEVなど電動車の販売を大幅に増やす必要があるが、フォードはBEVで出遅れていることから、VWの協力を仰ぐ。24年までにBEVの新モデルを乗用車で3種類、商用車で4種類、欧州市場に投入し、26年年以降は年60万台以上を販売する目標だ。