独化学工業会(VCI)は11日、ロシア産天然ガスと石油の輸入が短期間で停止することがないよう政府に慎重な対応を要請した。ロシアからの両資源の供給が突然、止まると化学プラントの多くが稼働停止に追い込まれ、経済と社会に深刻な影響が出ると注意を促している。
VCIはロシアへのエネルギー依存を引き下げていくという政府の方針については戦略的に支持すると表明。また、難しい状況下でエネルギー安定供給の確保に奔走するロベルト・ハーベック経済相を称賛した。
そのうえで、ロシア産ガス・石油を短期間で他の国からの輸入へと全面的に置き替えることはできないとして、慎重な対応を促した。自動車、コンピューター、断熱材、医薬品、洗剤などドイツの産業製品の95%は化学製品がなければ製造できないと指摘。ヴォルフガンググローセ・エントループ専務理事は、「たとえ短期間であっても化学産業へのエネルギー・原料供給が止まれば、ドイツの産業生産は全面的に麻痺する。その社会的・経済的な帰結は深刻だ」と強調した。一度停止した化学生産施設を再稼働するためには数週間の時間が必要だとしている。
ドイツの化学業界では天然ガスを原料として年280万トン、エネルギー源として99.3テラワット時、使用している。これは業界の消費量のそれぞれ27%、73%に上る。このほか石油製品のナフサ(粗製ガソリン)1,400万トン強を原料として投入している。