ドイツ機械工業連盟(VDMA)は11日、独業界の2022年の実質生産成長率を従来予測の7%から4%に引き下げた。21年第4四半期の実績が振るわなかったうえ、ロシアのウクライナ侵攻を受けて事業の先行き見通しが大幅に悪化したためだ。サプライチェーンのひっ迫が一段と先鋭化する恐れがあるとしている。
VDMAは戦争勃発から間もない3月初旬、会員企業およそ550社を対象に緊急アンケート調査を実施した。それによると戦争の影響が「大きい」ないし「深刻」と予想する企業は計85%に達した。
ロシアは独機械輸出先ランキングで昨年9位、ウクライナは同31位、ベラルーシは53位と比較的、低位にとどまったものの、合計の輸出高は70億ユーロに上った。戦争と対露制裁の影響で今年はこれら3カ国への輸出が大幅に減少する見通しだ。
エネルギー価格の高騰や顧客の先行き懸念の強まり、露通貨ルーブルの急落など間接的な影響をリスク要因として挙げる企業も約80%と多い。ロシアやウクライナで事業を展開していない企業もしわ寄せを受ける。
調査の時点でサプライチェーンに「深刻な」問題がある企業は32%、「大きな」問題がある企業は42%に上った。この数値には戦争勃発が反映されておらず、今後は問題に直面する企業が増える見通しだ。サプライチェーンの状況が今後3カ月で「一段と悪化する」との回答は53%に上った。
供給不足が特に深刻な部品は電子部品で、80%の企業が問題を抱えている。金属製品も54%と多い。電子部品では確保できるまでの期間が「6カ月以上長くなった」が31%、「3~6カ月長くなった」が30%に上っている。金属製品では「3カ月以上長くなった」が21%、「1~3カ月長くなった」が30%強。供給が安定する時期については金属製品で今年下半期、電子部品で来年以降との見方が強い。
連邦統計局のデータをもとにVDMAが同日発表した機械業界の21年の生産高は2,160億ユーロとなり、前年を8.5%上回った。実質の増加幅は6.4%。工場稼働率は前年の79.9%から89.3%へと上昇した。売上高は2,213億ユーロで、前年を名目8.7%、実質7.6%上回った。