自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は21日、北米事業に今後5年で71億ドルを投資すると発表した。中国と欧州市場に偏った販売体制を是正していく考え。電気自動車(BEV)の販売も強化する方針で、米国に電池工場を設置する。
VWグループの昨年の販売台数に占める欧州の割合は39.6%、中国は同37.2%に上った。両市場だけで全体の75%以上を占めている。北米は米国という世界2位の市場があるにも関わらず10.2%にとどまった。
VWはバランスの取れた世界販売体制の実現に以前から取り組んでいる。ロシアのウクライナ侵攻を受け、特定の市場に強く依存することは経営上の大きなリスクであることがこれまで以上に強く認識されたこともあり、ヘルベルト・ディース社長は今月中旬、アメリカ大陸市場でのプレゼンス強化方針を打ち出した。
北米販売の強化に向けては需要の大幅増加が見込まれるBEVモデルを数多く投入。2030年までに25種類以上を投入し、同地の販売の55%をBEVとする意向だ。
同社は現在、アメリカ大陸でBEV「ID.4」を販売している。24年には電動マイクロバス「ID.バズ」を追加。26年には複数のSUVモデルを発売する。米国で人気の高いピックアップのBEVを投入するかどうかは明らかにしていない。