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2022/3/30

総合 - ドイツ経済ニュース

戦争勃発で企業景況感が大幅悪化、期待指数の下げ幅はコロナ禍以上に

この記事の要約

Ifo経済研究所が25日発表した3月のドイツ企業景況感指数(2015年=100、季節調整値)は前月を7.7ポイント下回る90.8となり、20年7月以来の極めて低い水準へと落ち込んだ。ロシアのウクライナ侵攻を受けて先行き見 […]

Ifo経済研究所が25日発表した3月のドイツ企業景況感指数(2015年=100、季節調整値)は前月を7.7ポイント下回る90.8となり、20年7月以来の極めて低い水準へと落ち込んだ。ロシアのウクライナ侵攻を受けて先行き見通しが大幅に悪化。今後6カ月の見通しを示す期待指数の低下幅は13.3ポイントに達し、新型コロナウイルスの流行がドイツで本格的に始まった20年3月の同11.8ポイントを上回った。クレメンス・フュスト所長は「ドイツ企業は難しい時代の到来を予想している」と述べた。

期待指数は前月の98.4から85.1へと下落し、20年5月以来の低水準となった。現状判断を示す指数は1.6ポイント減の97.0と低下幅が比較的小さい。

現状を「良い」と判断する企業の割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)と、今後6カ月の見通しを「良い」とする割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)の中央値(季節調整値)はマイナス1.4ポイントとなり、前月のプラス15.4ポイントから大幅に悪化した。製造業ではプラス23.1ポイントからマイナス3.3ポイントへと26.4ポイント下落し、過去最大の下げ幅を記録した。先行き見通しが大幅に悪化している。

サービス業、流通業、建設業でも見通しを示すDIが大幅に落ち込んだ。サービスでは特に物流業界で懸念が強い。

輸出見通しも大きく悪化

一方、Ifoが28日発表した3月の独製造業輸出期待指数(DI)は前月の17.0ポイントからマイナス2.3ポイントへと19.3ポイント低下した。低下幅はコロナ禍初期の20年4月以来の高水準。特にロシア事業を展開する企業で悲観的な見方が強い。フュスト所長は「輸出成長率は大幅に鈍化する」との見通しを示した。

Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。

3月は自動車業界で「減る」が「増える」を上回った。輸出は今後、減少する見通しだ。ゴム・プラスチックと印刷業界でも輸出減が見込まれる。化学と機械は「増える」と「減る」が拮抗しており、輸出は横ばいとなる見通し。電機は輸出増となるものの、増加幅はこれまでよりも鈍ると予想される。