ドイツのアンネ・シュピーゲル家族相(緑の党)は11日、辞意を表明した。昨年夏に同国西部を襲った歴史的な洪水被害の発生後に家族で長期のバカンス旅行に出かけていたことなどが発覚し、辞任圧力が高まっていた。ロシアのウクライナ侵攻で政府が大きな課題に取り組むなかで職務の遂行に支障が出ることを避けるため、辞任を決めたと説明している。緑の党は後任者を速やかに選定する意向だ。
ドイツでは昨年7月、集中豪雨を受けてノルトライン・ヴェストファーレンとラインラント・ファルツ州で「100年に1度」の規模の大洪水が発生し、多大な被害と多数の死者が出た。シュピーゲル氏は当時、ラインラント・ファルツ州環境相だったにもかかわらずその10日後、4週間のバカンス旅行に家族とともに出発。洪水対策を協議する閣議に滞在先からオンラインで参加することすらしなかった。また、洪水発生前後に適切な対応をせず、被害の発生後は当事者の救済よりも自らの評価に傷がつかないようにすることに心を砕いていた疑いが持たれている。
ノルトライン・ヴェストファーレンでも、洪水被害発生後の勤務の大部分を西マジョルカ島の別荘で行っていたウルズラ・ハイネンエッサー環境相(キリスト教民主同盟=CDU)が7日に引責辞任した。シュピーゲル氏の退任を求める声はこれを受け一段と強まっていた。