北海で天然ガス新規採掘も、独NS州経済省が蘭社と大枠合意

独ニーダーザクセン(NS)州経済省は20日、北海の独蘭海域で天然ガスを採掘するプロジェクトについて蘭採掘会社ワンディアス(ONE-Dyas)と大枠合意したと発表した。NS州政府はこれまで同プロジェクトに否定的な立場を示してきたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア産天然ガスへの強い依存から早急に脱却する必要性がドイツでにわかに高まっていることから、姿勢を大幅に軟化させている。今回の合意を州政府が承認すれば、州鉱山・エネルギー・地学庁(LBEG)の主導で環境アセスメント調査と広聴手続きが実施される。手続きが順調に進んだ場合、早ければ2024年にも採掘が始まる見通しだ。

ワンディアスは17年、独ボルクム島の沖合20キロの海域で天然ガス田を発見した。「N05-A」と命名された同ガス田はドイツとオランダの海域にまたがっており、埋蔵量は推定およそ600億立方メートルに上る。プロジェクトが実施されれば、採掘量を両国でほぼ折半することになる。シュテファン・ヴァイル州首相はプロジェクトに原則的に反対していない。

一方、州野党の緑の党や環境保護団体は批判的だ。同党のクリスティアン・マイヤー州議会議員は、採掘を行ってもロシア産ガスの最大3.5%しか代替できないことを指摘。開発に伴う環境リスクや温暖化防止政策を踏まえれば実施すべきでないとしている。ドイツ環境・自然保護連盟(BUND)は有害物質の流失、地震発生、海底の地盤沈下などが起き、世界自然遺産のワッデン海が危険にさらされると警鐘を鳴らす。

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