ドイツとインドの政府間協議が2日、ベルリンで開催された。独政府は日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)などとともにインドとの関係を強化し、経済的な中国依存是正を進める方針を打ち出している。今回の協議では気候温暖化対策で協業を強めることを確認。グリーン水素分野では協力の基本合意を締結した。
ドイツはフランスや中国、ブラジルなど経済・外交面で重要な国と政府間協議を定期開催している。インドとの協議は2年に1度の開催で、今回は6回目。ショルツ首相はロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、「規則に基づく世界秩序の意義を強調することは一段と重要になった」と述べたうえで、力による現状変更を目指す中国を念頭にインド太平洋地域でもそうした秩序を維持することが大切だと訴えた。
インドは兵器の供給でロシアに強く依存していることから、モディ首相は対露批判を控えたものの、この戦争に「勝者はない」として、即時停戦を望むと述べた。
ショルツ首相はまた、現在インドを襲っている猛暑に言及。温暖化防止に努めることの重要性を強調した。ドイツは今後10年、同分野でインドを支援するため総額100億ユーロを拠出する。
グリーン水素の分野では生産から加工、使用、輸送に至るバリューチェーン全体で協業する。ドイツ企業が開発した電解槽を使って、再生可能エネルギー資源が潤沢なインドでグリーン水素を生産。水素ベースの合成燃料生産やドイツへの輸送を行う意向だ。これらの取り組みを実現するためにタスクフォースを設立し、産官学の連携や投資資金の確保を実現。規制や規格面で意見・ノウハウの交換も行う。