高級乗用車大手の独メルセデスベンツは6日、レベル3(米自動車技術会=SAE)の自動運転システム「ドライブ・パイロット」の予約受付を17日からドイツで開始すると発表した。旗艦モデル「Sクラス」と「EQS」向けにオプション販売する。価格は税抜きベースでそれぞれ5,000ユーロ、7,430ユーロで、米競合テスラの自動運転システム「FSD」(7,500ユーロ)よりやや低い。
ドライブ・パイロットは昨年、ドイツ連邦陸運局(KBA)からシステム承認を受けた。国際連合欧州経済委員会(ECE)の「高速道路等における運行時に車両を車線内に保持する機能を有する自動運行装置に係る基準(UN-R157)」を満たしており、同システムの搭載車はECE加盟国の国内法で認められれば公道を走行できる。
ドイツでは道路交通法でレベル3の自動運転がすでに認められていることから、ドライバーはドライブ・パイロットを使用できる。走行速度が時速60キロ以下など一定条件下であれば、運転をシステムに任せ、オンラインショッピングやメールのやり取りなど他の作業を行える。
メルセデスはドライブ・パイロットを技術者のほか、法律家、コンプライアンス担当者、データ保護担当者、倫理学の専門家を交えたチームで開発した。歩行者認識など安全に関する機能では、実用を通して自己学習するタイプのアルゴリズム投入を意図的に避け、代わりに、人工知能(AI)が学習できることを技術者が事前に定義・制御する「教師あり学習」タイプのものを使用している。