化学大手の独ランクセスは5日の決算発表で、ロシア産天然ガスの供給が停止した場合は同社のガス消費量を最大50%削減しなければならないことを明らかにした。ガス集約型の生産施設は全面停止。そのほかの施設も使用量を引き下げる。マティアス・ツァッヒェルト社長は「そうならないことを望んでいる。バリューチェーン全体が麻痺してしまうからね」と述べた。
業績面では営業利益が8,000万~1億2,000万ユーロ押し下げられる。ロシア産天然ガスの供給停止が財務にもたらす影響を数値化したのはドイツ企業で初めて。同社製品の供給不足で川下メーカーが受ける間接的な影響は計算できないとしている。
ランクセスはロシアのウクライナ侵攻を受けてすでに対策本部を立ち上げた。サプライチェーンとエネルギー供給に関する最新の情報を常時分析し、様々なシナリオを作成。複数の対策を用意している。
燃料と原料については代替調達先を模索している。天然ガスの使用量は可能な限り削減。不足した場合の対策も作成した。資金繰りに関しては社債の発行と融資枠で確保する。
同社の2022年1-3月期(第1四半期)決算の売上高は前年同期比43.7%増の24億3,200万ユーロと大幅に拡大した。需要増のほか、エネルギー価格高騰を受け平均31%の値上げを行ったことが大きい。ツァッヒェルト社長は、社会人生活のなかでこれほど大幅な値上げはこれまで経験したことがないと語った。営業利益(EBITDA、特別費計上前)は32.2%増の3億2,000万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の14.3%から13.2%へと低下した。純利益は53.1%増えて6,400万ユーロとなった。