独化学工業会(VCI)は24日、同国化学・製薬業界の2022年の業績予測は依然として提示できないと発表した。VCIはロシアのウクライナ侵攻と中国のゼロコロナ政策を受けて、3月に従来予測を撤回。その後も不安定な状態が続いていることから、予測値の提示を控えた。クリスティアン・クルマン会長(エボニック社長)は「わが業界の見通しはエネルギー・原料コストの上昇でますます暗くなっている。そのうえ、産業顧客はサプライチェーンの支障を受けて生産を削減し、化学品の発注を減らしている。(ロシア産)天然ガスの輸入禁止ないしロシアからのガス供給の停止が行われれば、さらなる壊滅的な影響が出る」と危機感を表明した。
業界の1-3月期(第1四半期)の生産高(営業日数・季節調整値)は前期比で1.3%増加した。製薬が6.4%増と好調だったためで、化学は1.1%減少した。原料・エネルギー価格が高騰したことから、出荷価格は川下への転嫁で6.7%上昇。売上高も7.8%増の663億ユーロへと拡大した。
工場稼働率は80.9%となり、前期の81.5%から低下した。正常な水準を下回っている。
化学分野で生産高が増えたのは無機化学品(6.0%増)と洗剤・ボディケア用品(2.3%増)だけだった。石油化学と誘導体は4.3%減、ファイン・スペシャル化学品は2.0%減、ポリマーは0.9%減となっている。