緊急時はガス発電を実質禁止、露産の供給停止にらみ法案作成へ

ロシア産天然ガスの供給が減少ないし停止しドイツ国内で供給不足が避けられなくなった場合、経済・気候省は天然ガス発電を実質的に禁止する意向だ。発電は他の電源を利用しても行えるためで、ガスの供給先を代替が不可能な暖房や製造業などに制限。石炭発電を一時的に増やすことで必要な電力を確保する。同省が関連省庁に送付した法原案をもとに各種メディアが報じた。

ドイツの天然ガス消費量は年950億立方メートルに上り、その大半を輸入で賄っている。昨年は輸入の55%をロシアから調達。現在は同割合が35%まで低下したものの、ロシア依存からの脱却には数年を要する見通しだ。政府は、今後2年間はエネルギー需要が増える冬季に供給不足に陥る可能性があるとみている。

そうした事態に対応するため、経済・気候省は今回の法原案を作成した。天然ガスの供給不足に陥る恐れがある場合、ガス発電へのペナルティ課金を最大6カ月間、実施する。採算を取れなくすることで、発電用の需要を抑制する。

天然ガス発電量は昨年、652キロワット時(kWh)に上った。国内総発電量の12.6%を占める。

天然ガス発電の実質的な禁止で発生する電力供給の穴は、予備電力扱いとなる石炭発電所を柔軟に活用できるようにすることで相殺する。2024年3月末までの時限措置としており、それ以降についてはロシアからの供給がなくなっても対応できるとみているようだ。

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