化学大手の独ランクセスは5月31日、高機能材料事業(HPM)の整理計画を発表した。蘭同業DSMの高機能樹脂事業(DEM)を投資会社アドベントと共同買収したうえで、DEMを新設する合弁会社に移管。また、HPMを同合弁に移管し、HPMを連結対象から切り離す。
ランクセスとアドベントはDEMを約37億ユーロで買収する。買収資金はアドベントの自己資本と債務で賄う。
ランクセスは新会社へのHPM移管に伴い、現金を少なくとも11億ユーロ取得。これを債務の圧縮と最大3億ユーロの自社株買いに充てる。新会社の出資比率はアドベントが60%以上、ランクセスが40%以下となる。
DEMは電機・消費財向け、HPMは自動車向けに強いことから、補完性が高い。DEMとHPMの売上高はそれぞれ約15億ユーロ。ともに2ケタ台の売上高営業利益率を確保している。
自動車業界で車両の電動化を背景に技術革新に向けた協業が活発化するなど業界を取り巻く環境が急速に変化していることから、ランクセスは昨年11月、HPMを法的に独立させることでそうした動きに柔軟に対応できるようにする方針を打ち出していた。