テルモンド―ヒートポンプ設置でLGと協業―

インターネットを利用して暖房器具の選定・販売・設置サービスを手がける独スタートアップ企業テルモンドは8日、既存住宅の暖房をヒートポンプに切り替えるサービスを開始したと発表した。炭素中立実現に向けた国の政策を背景に石油・ガス暖房を環境に優しいヒートポンプへと交換する動きが加速すると予想されることから、需要を取り込む意向だ。LGエレクトロニクスの製品を投入する。

ドイツは2045年までの炭素中立実現を目指している。その達成に向け、温室効果ガスを排出する暖房用のガス・石油に21年から炭素税を課税。税額は毎年、引き上げられていく。その一方で、ヒートポンプを設置する世帯には補助金が給付される。

テルモンドによると、国内住宅2,000万棟のうち1,600万棟を同社の主要顧客である1世帯、2世帯住宅が占める。そのうちの約600万棟は技術的、経済的、環境的にみてヒートポンプへの交換に適しているという。

ヒートポンプは新設住宅ではすでにメイン暖房の過半数を占める。既存住宅の数は新設住宅を大幅に上回ることから、潜在需要は大きい。

テルモンドは需要を掘り起こすため、面倒な手続き、作業などを一手に引き受けるサービスを手軽な料金で提供する。「テルモンド・イージー」というレンタル方式の商品では計画、補助金獲得、設置、メンテナンス、故障の遠隔診断を提供。料金は月159ユーロからとなっている。顧客にはLGのヒートポンプ「LGサーマV」を提供する。

テルモンドは2013年の設立。暖房の交換を検討する潜在顧客向けに、適切な製品をアルゴリズムで自動提案するサービスを提供している。関心を持つ顧客が同社のサイトで家の大きさや築年数、断熱材、これまで使ってきた暖房と新たに希望する暖房の種類などの情報を入力すると、データバンクのなかから最も適した製品を選び出す。これまでにドイツ全国で3万件以上の暖房交換を手がけた。雇用規模は700人弱で、そのうち400人以上を、設置作業を行う職人が占める。

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