新築住宅に資材・金利・エネ高騰の三重苦、「政府目標40万件は不可能」=業界団体

住宅会社の業界団体GdWは7日、1-3月期の住宅建設価格が前年同期比で14.3%上昇したとの調査結果を発表した。資材、住宅金利、エネルギーコストが急速に上昇。2019年比の上げ幅は21.8%に達した。賃貸・マイホームを問わず新築住宅は一般的な世帯の手の届かない存在となりつつあり、アクセル・ゲダシュコ会長は新築住宅を年40万件、確保するとした政府目標は実現できないとの見方を示した。

GdWによると、新築住宅で年3.5%の利回りを確保するためには昨年半ば時点で1平方メートル当たり平均10.62ユーロの家賃が必要だった。1年後の現在はこれが16.87ユーロに上昇。このままで行くと、20ユーロを突破するのは時間の問題という。住宅を新設しても入居者を確保できない恐れが高いことから、GdW会員企業の71%は建設プロジェクトを延期ないし中止した。

GdWは、政府が計画する新築住宅の省エネ基準強化や、ソーラーパネルとヒートポンプ設置の実質的な義務化は住宅コストを一段と膨らませるとして見直しを要求した。

現在のエネルギー価格高騰に絡んでは、光熱費負担が今年、大幅に増える見通しを示した。1人世帯で昨年を985~2,749ユーロ、4人世帯で1,818~5,074ユーロ上回ると試算している。

光熱費を支払えない借家人との賃貸住宅契約解除を一時的に禁止すべきだとする議論に関しては、支払う能力のない借家人に猶予期間を与えても支払いが行われる可能性はまずないと指摘。契約解除を禁止するのではなく、暖房用化石燃料の二酸化炭素(CO2)税徴収を一時的に凍結することで対応すべきだと提言した。

GdWには住宅会社およそ3,000社が加盟している。ドイツの賃貸住宅に占める加盟企業保有の物件は30%に上る。