Ifo経済研究所が25日発表した7月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を3.6ポイント下回る88.6となり、2020年6月以来の極めて低い水準へと落ち込んだ。エネルギー価格の高騰と天然ガスの供給不足懸念が景気を冷え込ませている。クレメンス・フュスト所長は「ドイツは景気後退の入り口に立っている」との見方を示した。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が5.2ポイント減の80.3と特に大きく落ち込んだ。現状判断を示す指数も1.7ポイント下がり97.7となった。
景況感を部門別でみると、製造業の期待指数はコロナ禍初期の20年4月以来の低水準へと落ち込んだ。ほぼすべての業界で見通しが悪化している。現状判断指数も低下。新規受注は小幅ながら2年ぶりに縮小した。
景況感はサービス業でも大きく悪化した。特に期待指数で下落幅が大きい。コロナ規制の大幅緩和を追い風にこれまで好調だった旅行、宿泊・飲食業界にも陰りが出てきた。サービス業の現状判断指数は悪化したものの、水準自体は依然として高い。
流通業でも現状判断と期待指数がともに落ち込んだ。小売ではすべての分野で見通しが暗い。
建設業の景況感は大幅に悪化した。現状判断は16年4月以来の低水準へと下落。先行き見通しも暗さを増した。
輸出見通し悪化
一方、Ifoが26日発表した7月の独製造業輸出期待指数(DI)はマイナス0.5ポイントとなり、前月のプラス3.4ポイントから3.9ポイント低下した。同指数がマイナスの領域に落ち込むのは、ウクライナ戦争勃発直後の3月以来で、4カ月ぶり。ロシア産天然ガスの供給削減が生産と輸出に影を落としている。
Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。
7月の調査では、化学、食品、ゴム・プラスチック製品、家具業界などで輸出見通しが悪化した。一方、データ処理装置、電子・光学製品、飲料では見通しが大幅に改善。自動車、機械もやや改善した。