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2022/8/3

総合 - ドイツ経済ニュース

インフレ率2カ月連続低下、7月は7.5%に

この記事の要約

ドイツ連邦統計局が7月28日発表した同月の消費者物価指数(ドイツ基準、速報値)は前年同月比7.5%増と大幅に上昇したものの、上げ幅は2カ月連続で縮小した。物価高騰の直撃を受ける消費者向けの負担軽減策が奏功した格好。インフ […]

ドイツ連邦統計局が7月28日発表した同月の消費者物価指数(ドイツ基準、速報値)は前年同月比7.5%増と大幅に上昇したものの、上げ幅は2カ月連続で縮小した。物価高騰の直撃を受ける消費者向けの負担軽減策が奏功した格好。インフレ率が今後も低下するのか、それとも上昇に転じるのかについては専門家の意見が分かれている。

エネルギーの上げ幅は前月の38.0%から35.7%に縮小し、2カ月連続で狭まった。政府は消費者の負担を軽減するため6月に自動車燃料税を引き下げたほか、全国の地域公共交通機関を月9ユーロで利用できる定期券を導入。7月には、電力料金に上乗せされる再生可能エネルギー電力助成分担金を半年前倒しで廃止した。

食料品の上昇率は14.6%となり、前月の12.7%から拡大した。10%を超えるのは3カ月連続。

物価の構成比重が530パーミル(‰)を超えるサービスは同2.0%となり、前月を0.1ポイント下回った。9ユーロ定期券の効果が大きい。同定期券導入前の5月は2.9%に達していた。

9ユーロ定期券と自動車燃料税の減税は8月末で終了する。また、政府は調達コストの急増で資金繰りが悪化しているガス輸入会社を底支えするため、川下への迅速な価格転嫁を10月1日付で解禁することから、秋には再びインフレ率が上昇に転じるとの見方が強い。富裕層向け資産運用サービス会社HQトラストのチーフエコノミストは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、9月には8%を超える可能性があると述べた。

一方、Ifo経済研究所が同日発表した7月のドイツ価格計画指数(DI)は前月の52.9ポイントから47.4ポイントへと下がった。低下は3カ月連続。調査担当者は、物価の上昇は今後も続くが、そのスピードは鈍化すると指摘したうえで、「インフレ率はおそらくピークに達した。下半期は徐々に低下していく」との見方を示した。

Ifoは月例の企業景況感調査の一環として今後3カ月の販売価格見通しを質問している。企業は「値上げする」「据え置く」「値下げする」のどれかを選んで回答。「値上げする」の回答比率から「値下げする」の回答比率を引いた数に季節要因を加味したものが価格計画指数となる。すべての企業が「値上げする」と答えれば同指数は100ポイントとなり、すべての企業が「値下げする」とすればマイナス100ポイントとなる。

7月の価格計画指数を業界別でみると、消費の川上分野で大きく下がった。建設は51.6ポイントから40.7ポイント、製造は59.5ポイントから54.6ポイントへと低下している。消費者向けサービスも63.1ポイントから46.3ポイントへと下がった。

食品小売では値上げに歯止めがかかる兆しが出ていない。アンケートではすべての企業が「値上げする」と回答した。

バルト3国は20%超に

欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが29日に発表したユーロ圏の7月のインフレ率(EU基準、速報値)は前年同月比8.9%となり、ユーロを導入した1999年以降の最高を更新した。エネルギーの上げ幅は42.0%から39.7%に縮小したものの、食料品・アルコール飲料・たばこが0.9ポイント増の9.8%、サービスが0.3ポイント増の3.7%へと上昇。全体を強く押し上げた。

ドイツは8.2%から8.5%に上昇したものの、上げ幅はユーロ圏全体を下回った。主要国ではスペインが10.8%とユーロ圏平均を上回り、フランス(6.8%)とイタリア(8.4%)は下回った。フランスはユーロ圏内で最も低い。一方、バルト3国はエストニアが22.7%、ラトビアが21.0%、リトアニアが20.8%とそろって20%を超えた。

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