ドイツ連邦統計局は21日、国内供給が厳しい状況に陥っている天然ガスに関する各種データを公表した。それによると、5月の輸入価格指数(2015年=100)は332.2となり、前年同月を235.6%上回った。6月の産業向け価格指数(同)も前年同月比182.6%増の323.9と2.8倍に上昇している。消費者向けはこれまでのところ価格転嫁が比較的小さいものの、6月の価格指数(同)は60.7%増の159.7へと高まった。輸入価格高騰分の迅速転嫁が今後、解禁されると、消費者価格も急騰が避けられない見通しだ。
天然ガスの輸入量は昨年、9,045億キロワット時(kWh)に上った。国内採掘は478億kWhにとどまっており、国内消費の95%を輸入で賄っている。輸入の約半分はロシア産が占める。
独製造業が20年に使用したエネルギーの総量は1,040.9億kWhに上った。天然ガスはそのうち324.6億kWhを占める。シェアは31%で最大だ。2位は電力で21%。石油製品と石炭はそれぞれ16%で3位に付けた。
天然ガスの同シェアが最も高い業界は化学で36.9%に上った。エネルギーのほか、原料としても使用していることから水準が高く、2位の食品・飼料(10.8%)を大きく上回った。3位は金属製造加工で10.3%、4位はガラス製品・セラミック・石土加工で9.0%となっている。
一般世帯の天然ガス消費量は19年時点で1人当たり8,800kWh強に上った。エネルギー消費量全体の41.2%を占めている。暖房、温水、調理などで使われている。
天然ガス発電量は今年1-3月期に187億kWhに上った。国内発電に占めるシェアは13.0%で、前年同期の16.2%から縮小した。政府は天然ガスの消費量を抑制するため可能な限り石炭発電などで代替する方針を打ち出していることから、今後は天然ガス発電が大幅に減る見通しだ。