企業景況感が大幅悪化、景気後退へ

Ifo経済研究所が26日発表した9月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を4.3ポイント下回る84.3となり、コロナ禍初期の20年5月以来の低水準を記録した。製造、サービス、流通、建設の4部門すべてで悪化。クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は景気後退局面に陥る」との見方を示した。

今後6カ月の見通しを示す期待指数が5.3ポイント減の75.2と特に大きく落ち込んだ。現状判断を示す指数も94.5へと3.0ポイント下がっている。特にエネルギー集約型業界で先行きへの悲観が強い。

景況感を部門別でみると、製造では期待指数が20年4月以来の低水準へと落ち込んだ。現状判断指数も下がっている。

サービス業では現状判断と期待指数がともに大きく低下した。特に飲食・宿泊業界で先行き見通しが暗い。

流通業の景況感は一段と悪化した。現状を「良い」とする回答比率から「悪い」とする回答比率を引いた数(DI)は1年7カ月ぶりにマイナスの領域へと転落。期待指数は統計開始後の最低を記録した。

現状判断と期待指数は建設業でも悪化した。

コメルツ銀行のチーフエコノミストは、エネルギー価格の高騰を受けて消費者の購買力が低下しているほか、多くのメーカーで採算が取れなくなっていることを指摘。「ドイツはエネルギー輸入価格の高騰で貧困化した」と述べ、経済的に厳しい冬が目前に迫っていると危機感を示した。

輸出低迷は続く見通し

一方、Ifoが27日に発表した9月の独製造業輸出期待指数(DI)は前月のマイナス2.8ポイントからマイナス6.0ポイントへと低下し、コロナ禍初期の2020年5月以来の低水準を記録した。同指数の悪化は4カ月連続、マイナスの領域に落ち込むのは3カ月連続。調査担当者は「輸出が拡大する見通しは現在、立っていない。中期的にみても、世界経済の冷え込みの影響で、強い勢いを期待することはほとんどできない」と悲観的な見方を示した。

Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。同指数がマイナスの領域にあることは、過半数の企業が輸出減を見込んでいることを意味する。

9月の調査では、ほとんどすべての業界で同指数が悪化した。特に化学、家具、金属で見通しが厳しい。一方、自動車業界では10~12月に輸出増を見込む企業が多い。

上部へスクロール