中堅スーパーのテグートが営業時間短縮、電力高騰や消費不振受け

スイス小売大手ミグロス・チューリヒの独子会社テグートが営業時間を短縮する意向だ。エネルギーコストの急騰と高インフレに伴う消費不振を踏まえた措置。勤務時間の短縮を通して労働環境を改善し、十分な規模の人材を確保できるようにする狙いもある。トーマス・グートベルレット社長が食品業界紙『レーベンスミッテルツァイトゥング』に明らかにした。

テグートはこれまで、営業時間が20時までに制限されているバイエルン、ザールラント州を除き22時まで開店していた。今後はこれを20時に繰り上げる。

独小売業中央連盟(HDE)によると、ドイツの電力価格は年初からこれまでに150%も上昇した。小売店の半数は会社存続の危機を感じている。営業時間を短縮すれば電気代を節約できるうえ、人件費も引き下げられることからメリットが大きい。調達コストの上昇分を販売価格に全面転嫁することができず、利幅が狭まっていることもあり、経費を可能な限り節約することは至上命令だ。

ただ、グートベルレット社長はエネルギー価格高騰の終息後も20時閉店を継続する考えを示した。夜遅くまで働きたいと思う就労者はほとんどおらず、夜間営業を続ければ人材が集まらなくなるのはほぼ確実。ドイツではすでに多くの業界で人材不足が深刻化しており、小売業界にもその波は押し寄せている。大手スーパー・エデカの店舗を西南ドイツで16カ所、展開するディーター・ヒーバー社長は人手不足を理由に水曜午後を休業することにした。

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