マニュアル(MT)車が圧倒的に多かったドイツでオートマチック(AT)車が主流となっている。自動車市場データ会社DATの情報をもとにdpa通信が報じたところによると、最新年式の新車に占めるAT車の割合は66.4%に達した。2000年時点では19.6%にとどまっていた。
DATの広報担当者は電動車の増加でこの傾向が強まったと述べた。電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHV)にはMTモデルがないためで、「遅かれ早かれオートマチック・トランスミッションが圧倒するようになるでしょう」と述べた。
内燃機関車であってもMT車の種類が減っていることも大きい。市販の大型車は現在、すべてATを採用。SUVとオフロード車もATが大半を占めるという。
ブランド別でみると、高級ブランドのBMWが同国で販売する車両の90%以上はAT車だ。メルセデスが製造するMT車は「Aクラス」などのコンパクトカーに限られる。大衆車のVWが昨年販売し車両に占めるAT車の割合は75%を突破。MT車は12年の約70%から25%弱へと低下した。
ドイツでAT車の販売が長年、振るわなかった背景にはMT車に比べ燃費が悪かったという事情がある。現在はAT車のギア数が7速、9速などへと増えていることから、省エネ走行が可能になっている。倹約志向の強いドイツ人が目の敵にする必要性はもはやない。
自動車教習でMT車を計10時間15分、運転した実績があればAT車で試験を受けてもMT車の免許を取得できるルールが21年4月から施行されたこともAT車普及加速の追い風となりそうだ。独教習所全国連盟(BDFU)のライナー・ツェルトヴァンガー会長によると、免許試験をAT車で行うケースが増えている。