天然ガス備蓄95%突破、世帯などに節約の兆候

ドイツの天然ガス備蓄率が95.14%となり、11月1日の義務水準(95%)を全国レベルで達成したことが、連邦ネットワーク庁の14日の発表で分かった。ロシア産の供給が停止されたうえ、暖房シーズンもすでに始まっているものの、備蓄の増加傾向が続いている。クラウス・ミューラー長官は、現在の備蓄水準は厳冬の2か月分の需要に相当すると指摘したうえで、国内のガス不足を回避するためには消費量を最低でも20%削減する必要があると強調。市民などに節約を呼びかけた。

ドイツではロシアのウクライナ進攻後、ガス備蓄制度が導入された。毎年9月1日時点で容量の75%、10月1日時点で85%、11月1日時点で95%の確保を貯蔵事業者に義務付けている。

これらの備蓄率は各貯蔵施設で実現されなければならないが、国内最大のレーデン貯蔵場は現在83.74%で、10月1日の義務水準にも達していない。背景には同貯蔵場が今春までロシア企業ガスプロムの傘下にあった関係で備蓄の拡大が遅れているという事情がある。

一般世帯・小規模事業者部門の2022年第40週(10月3~9日)の天然ガス消費量は18~21年の同週平均を29%下回った。平均気温が0.7%高かったことが大きい。ただ、今年より気温が高かった20年同週に比べても消費量が少ないことから、世帯などがガスの使用抑制に努めていることがうかがわれる。

冬に入ると備蓄率は確実に低下する。ミュラー長官はこれを踏まえ、来年2月1日時点でも最低40%の水準を保たなければならないと指摘した。40%を割り込んだ状態で2~3月に寒波が到来すると、供給不足に陥る恐れがあるためだ。23~24年冬季に向け来春から再び備蓄を増やすうえでも、貯蔵量をできるだけ減らさないことが重要だとしている。

経済省はこうした事情を踏まえ省エネキャンペーンを強化した。映画やテレビ、インターネットで大規模な広報活動を展開している。

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