自動車部品大手の独ZFフリートリヒスハーフェンは7日、同国西南部のザールブリュッケン工場を電気自動車(BEV)向けパワートレインの主力工場とすることで従業員代表、地元ザールラント州政府と合意したと発表した。同州では自動車産業の中心的な役割を担ってきた米フォードのザールルイ完成車工場が閉鎖される可能性があり、製造業の衰退が懸念されている。ZFは従業員・州の協力と引き換えに同工場の存続と雇用の維持を図る。
ザールブリュッケン工場はパワートレインの主要生産拠点で、雇用規模は9,000人に上る。現在行っているハイブリッド車(HV)向け製品(8速AT)の生産は好調なものの、車両のBEV化が今後進むと需要は確実に減少していく。今回の合意はこれを踏まえたもので、BEV向け製品の生産も開始することで工場の長期存続を図る。BEV向けパワートレインの生産ラインを2023年に敷設し、24年から量産する計画だ。
ただ、これだけではHV向け製品の需要減少分を相殺できず、雇用規模を維持できなくなることから、今回の合意では◇従業員の給与の一部を原資に基金を設置し、さらなる製品の生産割当を獲得する◇州が助成措置を行う――が取り決められた。同社も1億ユーロのケタ台の投資を行う。