ドイツ鉄道―国際物流子会社シェンカーを売却へ―

ドイツ鉄道(DB)は15日、国際物流子会社DBシェンカーの売却を検討・準備するよう監査役会が取締役会に指示したと発表した。売却益で巨額債務の圧縮を図る。売却に向けた手続きをいつ開始するかは未定。世界経済が減速し、株式市場を取り巻く環境が悪化していることから、実施までには長い時間がかかる可能性もある。

DBは中核事業である鉄道分野に経営資源を絞り込む方針を打ち出している。このためトラック・航空輸送と海運を手がけるシェンカーを売却するとの観測は以前から出ていた。シェンカーにとっても、競争が激化する国際物流市場で地位を高めるためにはDBから分離された方が好ましいという側面がある。

シェンカーはDBを支える大黒柱であり、DBの2022年6月中間期の売上高(279億6,900万ユーロ)の51%を占めた。営業利益(EBITDA、調整済み)でも53%を占めている。シェンカーを手放すとDBの事業規模は半減するものの、巨額の売却益が見込めることから放出することにした。

シェンカーの時価総額については数カ月前時点で最大200億ユーロとの観測が出ていた。市場環境が悪化していることから現在はこれよりも評価が下がっているもよう。それでも売却すればDBの純債務(6月末時点で305億400万ユーロ)を大幅に圧縮できる見通しだ。

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