小売大手リドル新設の海運子会社、サプライチェーン安定に向け化学大手が利用

化学大手の独コベストロは16日、ディスカウントストア大手のリドルが今夏に立ち上げた海運子会社テイルウインド・シッピング・ラインズの利用を開始したと発表した。輸送時間の遅れを減らし、サプライチェーンの安定化を図る狙い。スチェタ・ゴヴィル取締役(マーケティング・販売担当)は「(新型コロナ)パンデミックの発生後、海運による輸送には大きな支障がある。海運大手の運行の正確性は70%から20%へと低下した」と事情を説明した。

テイルウインドはリドルが自社のサプライチェーンを安定させるために設立した企業で、7月に船舶の運行を開始した。自社所有の2隻とチャーターした船舶を使用。主にアジア~欧州間でノンフード製品を輸送している。輸送能力にゆとりがあることから他社に利用を呼びかけており、コベストロが応じた。さらなる顧客の開拓にも意欲を示している。

海運大手が運行する船舶は既定の大きな港にしか停泊しないうえ、寄港する港湾の数が多い。これが輸送の遅れにつながっていることから、リドルはテイルウインドを設立した。

テイルウインドの船舶は輸送能力が約5,000TEU(20フィートコンテナ換算)で、海運大手の船舶の2~3割にとどまる。だが、小さな港にも立ち寄るなど柔軟性があるうえ、運行も正確だ。

コベストロはこれを評価してテイルウインドの利用を決めた。上海近郊の自社工場で生産した製品を搭載したテイルウインドの船舶が現在、欧州に向けて航行している。

コベストロは上海から欧州に年8,000トン強の物資を輸送している。今後はその多くをテイルウインドに委託する。

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