【労働・社会保障・家族】
・通称で「ハルツ4」と呼ばれる「失業手当2(求職者基礎保障給付金)」が「市民手当(ビュルガーゲルト)」に名称変更。制裁・保有資産規制が緩和されるとともに、資格取得や再教育の側面が強化。給付額も引き上げられる(独身者で月53ユーロ増の502ユーロ)
・被用者に軽減税率・社会保険料率が適用されるミディジョブの月収上限額が従来の1,600ユーロから2,000ユーロに引き上げ
・操短手当の特例ルール、6月末まで延長。被用者の10%が操短の対象となれば支給
・年金受給開始年齢、1957年生まれで65歳11カ月、58年生まれで66歳に引き上げ
・公的健康保険の病休証明(AU)が電子化。病休に関するデータを医師が公的健保に電子送信することから、被用者がAUを雇用主に提出する義務はなくなった。雇用主は被用者から電話などで病休の連絡を受けたら、電子病休証明(eAU)を公的健保組合から取り寄せなければならない。システム障害でeAUを取り寄せられない場合は、被用者が受け取るペーパー版のAUが必要となるため、被用者はペーパー版のAUを保管しておく必要がある(民間健保に加入する被用者は新ルールの対象とならない)
・公的健康保険の追加保険料率が平均0.3ポイント増の1.6%に上昇。これに伴い労使が折半する公的健保の総料率が平均16.2%に上昇
・子供手当(キンダーゲルト)が1人当たり月250ユーロに統一。第1子と第2子で各31ユーロ、第3子で25ユーロの増額
【税制・不動産】
・名目所得が増えても所得の増加に伴う税率上昇とインフレの作用で実質所得が減少する「冷たい累進性」を解消するため、所得税率の累進性を緩和。最高税率の42%が適用される所得は従来の年5万8,597ユーロ以上から6万2,810ユーロ以上に上昇する
・所得税の基礎控除額が561ユーロ増の1万908ユーロに拡大
・コロナ禍で時限導入された在宅勤務の所得税控除ルールが恒常化。控除額は1日当たり5ユーロから6ユーロに上昇。年間の上限額も600ユーロから1,260ユーロに拡大したことから、適用可能な日数は年120日から210日に拡大
・年金保険料の税控除率が96%から100%に上昇。税負担が軽減されるとともに、将来の二重課税が回避される
・レストランなどの飲食店に臨時適用している付加価値税(VAT)の軽減税率(7%)の期限を2022年末から23年末へと12カ月延長。ドリンクにはこれまでに引き続き19%の標準税率が適用される
・たばこ税を引き上げ。20本入りで平均10セント増額
・現金での不動産取引が禁止に。マネーロンダリング防止が狙い
【環境・温暖化防止・エネルギー】
・天然ガス・地域熱・電力料金の一部を国が負担する特例措置、施行は3月1日となっているものの1月1日にさかのぼって適用。天然ガスには1キロワット時(kWh)当たり12セント(地域熱は9.5セント)の上限価格が設定される。上限価格の適用対象となるのは、2023年の予想消費量(今年9月に算定済み)の80%で、12セント(9.5セント)を超える料金部分を国が全額負担する。80%を超えた使用量部分は国の支援対象とならないことから、高額な料金を需要家がすべて自己負担することになる。電力では過去の使用実績の80%に相当する消費量に1kWh当たり40セントの上限価格が適用され、40セントを超えた料金部分を国が全額負担する。80%を超えた使用部分は需要家が高額な料金をすべて自己負担
・再生可能エネルギー改正法が施行。再生エネのプロジェクトを優先度の高い公共の利益と位置付け。国内発電に占める再生エネの割合を30年までに現在の42%から約2倍の80%へと引き上げ
・洋上風力発電法が施行。国内の洋上風力発電容量を20年の7.8ギガワット(GW)から30年までに30GW以上、35年までに40GW以上、40年までに70GW以上へと引き上げ
・新築住宅の熱効率基準を引き上げ。1次エネルギー消費量が基準値の55%以下であることが義務化
・二酸化炭素(CO2)コスト分担法施行。熱効率が一定水準以下の賃貸住宅では暖房を実際に使用する借家人だけでなく家主にも炭素税の負担義務。家主の負担比率は最大90%。1次エネルギー消費量が基準値の55%にとどまる住宅、「EH55」以上の熱効率であれば、家主の炭素税負担は発生しない
・住宅向けの小規模な太陽光発電設備、販売の際に付加価値税(VAT)が原則免除となるとともに、売電収入が所得税の課税対象外に
・残存3原発の稼働期限を22年末から23年4月15日へと延長
・電動車購入補助金を縮小・減額。プラグインハイブリッド車(PHV)は助成対象外に。補助金の支給を受けて購入した車両を1年以内に転売することが禁止に
・飲食店のテイクアウトサービスで使い捨て容器のほか、リユース容器も提供することが義務化。顧客が持ち寄った容器にコーヒーや食べ物を詰めるサービスも提供しなければならない。従業員数が5人以下、面積が80平方メートル以下の店舗には適用されない
【その他】
・児童労働禁止などの社会的基準や環境保護基準がサプライチェーンで順守されるようにすることを企業に義務付ける法律が施行。ドイツ国内の雇用が3,000人超の企業に適用。24年1月からは適用対象が同1,000人超へと拡大
・トラック走行料金引き上げ
・紙ベースの官報を廃止。デジタル化で法律を速やかに施行できるようにするとともに、アクセスを容易化