ドイツ連邦統計局が9日発表した2022年の国内発電量(送電網への供給量ベース)は5,094億キロワット時(kWh)となり、前年を1.9%下回った。原子力と天然ガス発電が大幅に減少し、足を強く引っ張った。
原子力発電は50.0%減少した。同国は脱原発を進めており、残存6基中3基を21年末で廃止したことから、22年は年初から前年同期を大幅に下回っていた。
天然ガス発電も11.3%減の580億kWhと大きく落ち込んだ。ロシア産ガスの供給が大幅に減り、価格が高騰したことが背景にある。石炭発電は8.4%増の1,699億kWhに拡大したものの、在来型電力全体では前年を8.7%下回る2,735億kWhへと縮小した。
再生可能エネルギー発電は7.3%増えて2,359億kWhとなった。太陽光が19.5%増加し、全体をけん引した格好だ。設置容量が13%増えたうえ、日照時間が長かったことから大幅増となった。風力は9.4%増、バイオガスは0.4%減。水力は夏季の猛暑渇水が響いて12.0%減少した。
最大の電源は石炭で、シェアは33.3%に上った。2位は風力発電で24.1%、3位は天然ガスで11.4%、4位は太陽光で10.6%となっている。
在来型のシェアは53.7%に上ったものの、前年同期の57.7%から低下した。再生エネは42.3%から46.3%へと拡大した。
22年の電力輸入量は493億kWhとなり、前年を4.8%下回った。これまで最大の輸入先だったフランスの発電量が原発の技術的な問題で大幅に減り、同国からの輸入量が62%も縮小したことが反映されている。ドイツは統計を開始した1990年以降で初めて対仏電力取引が輸出超過となった。
22年の輸出量は8.5%増の763億kWhに拡大したことから、ドイツは270kWhの出超となった。