ドイツ連邦統計局が27日に発表した国内河川の2022年の貨物輸送量は前年比6.4%減の1億8,200万トンとなり、東西ドイツ統一(1990年)後の最低を記録した。猛暑に伴う8月の水位低下と、主要な輸送財の生産減が響いた格好だ。地球温暖化で猛暑渇水の発生リスクは高まっており、河川輸送への依存度の高い企業は対策を取り始めている。
ライン川やエルベ川など主要河川の流域には鉄鋼、化学工場や発電所が多い。原料・燃料や製品を低コストで大量輸送するためには水運が最も適しているためだ。輸送量は石油製品(2,700万トン)、石炭(2,560万トン)、石・土(2,270万トン)、鉄鉱石(1,970万トン)が上位を占めており、合計のシェアは52%に上った。このうち石・土は8.1%、鉄鉱石は5.7%、石油製品は4.1%減少した。石炭は天然ガスの供給不足を受けて火力発電向けの需要が大きく伸びたことから12.1%増加した。
減少幅は廃棄物・二次原料(16.7%減の920万トン)、化学原料(14.1%減の1,300万トン)、「分類できない財」(11.2%減の1,190万トン)で特に大きかった。
部門別のシェアでは乾性ばら積み貨物が58.5%で最も多かった。液状ばら積み貨物は24.7%、コンテナは10.0%だった。
輸出貨物は12.1%減の4,730万トンと減少幅が大きかった。輸入貨物は3.8%減の8,490万トン、国内貨物は3.8%減の4,460万トン、トランジットは13.5%減の920万トンだった。
8月の貨物輸送量は前年同月を26.8%下回った。ドイツでは18年夏にも猛暑で水位が低下し、河川物流に大きな支障が出ており、影響を受ける企業では鉄道輸送の拡大や喫水線の浅い船の活用など対策が広がっている。