対中関係でEU側のリスク低減が重要=欧州委員長

欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は3月30日、ブリュッセルでEUと中国の関係について講演し、経済面では中国への依存を低減し、リスクを減らしながら関係を続けていく必要があるとの考えを強調した。同氏はフランスのマクロン大統領とともに5日から中国を訪問し、習近平国家主席らと会談を行うことになっている。

シンクタンク主催の会議で講演したフォンデアライエン氏は、中国がウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとの連携を強化している点に触れ、「中国は自国が主導するかたちで国際秩序を作り変えようとしている」と指摘。先の中露首脳会談で習氏が示した「和平案」について、「ロシアによる併合を容認する提案は受け入れることができない」と明言したうえで、中国には戦争終結に向けてロシア軍の撤退を条件とする「公正な平和」を促す義務があると述べ、今後の対中関係ではウクライナでの戦争における中国の対応が鍵を握ると強調した。

経済面については「中国とのつながりを断つことは不可能であり、欧州の利益にもならない」と述べ、中国との関係を「リバランス」してEU側のリスクを減らすことが重要だと指摘。具体的な取り組みとして、人工知能(AI)や量子コンピューターといった一部のハイテク分野について、域外向けの投資を規制する方向で検討していることを明らかにした。経済安全保障面で重要な技術が流出するのを防ぐための措置で、年内に規制案をまとめる考えを示した。

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