ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した3月の乗用車新車登録台数は前年同月比16.6%増の28万1,361台となり、2カ月連続で拡大した。サプライチェーンのひっ迫緩和で受注残の消化が加速したことが大きい。比較対象の2022年3月は部品不足とロシアのウクライナ侵攻による生産低迷が響き約18%落ち込んでおり、その反動で伸びたという事情もある。コロナ禍前の19年3月(34万5,532台)に比べると19%少ない。1~3月も前年同期比は6.5%増の66万6,818台に拡大したものの、19年1~3月に比べると24%低い水準だ。
3月の新車登録を動力源別でみると、電気自動車(BEV)は28.0%増の4万4,125台へと拡大した。プラグインハイブリッド車(PHV)を含むハイブリッド車(HV)は11.0%増の8万4,029台に拡大したものの、PHVは補助金打ち切りの影響で38.5%減の1万6,776台と大きく落ち込んだ。内燃機関車はガソリン車が22.8%増の10万3,271台、ディーゼル車が7.8%増の4万8,597台だった。
シェアをみると、BEVは前年同月の14.3%から15.7%へと拡大した。HVは31.4%から29.9%へと低下。PHVは11.3%から6.0%へと大きく落ち込んだ。ガソリン車は1.8ポイント増の36.7%、ディーゼル車は1.4ポイント減の17.3%だった。乗用車新車登録に占めるBEVとPHVの合計のシェアは21.7%(前年同月25.6%)、BEVとHVは同45.6%(45.7%)となっている。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は120.6グラムで、前年同月を1.1%上回った。ガソリン車の新車登録比率が高まったことが響いたもようだ。
新車登録を部門別でみると、伸び率が最も大きかったのはスポーツ車で、31.2%に上った。これに大型バンが28.6%、コンパクトカーが27.8%、オフロード車が23.9%、SUVが23.1%で続いた。シェアではトップのSUVが前年同月の28.1%から29.7%へと拡大した。2位はコンパクトカーで15.9%。3~5位は差が小さく、小型車が11.8%、オフロード車が11.3%、中型車が10.9%となっている。
伸び率が最も大きかったブランドはリンク・アンド・コーで、356.4%増の429台を記録。MGロエベ(270.8%増の2,010台)、アルファロメオ(150.7%増の534台)、スズキ(112.8%増の3,283台)、ロールスロイス(111.1%増の38台)、MAN(101.2%増の340台)も3ケタ台の伸びとなった。
MAN以外のドイツ車では、メルセデス(38.1%増の2万8,108台)、ミニ(34.0%増の5,113台)、VW(29.5%増の4万9,894台)、アウディ(27.3%増の2万7,699台)、ポルシェ(20.4%増の3,548台)、オペル(12.8%増の1万3,317台)が2ケタ増となり、BMW(7.3%増の2万1,246台)とスマート(0.8%増の1,809台)も前年同月を上回った。フォードは11.2%減の1万1498台と振るわなかった。
スズキ以外の日本車では日産(60.3%増の4,590台)とマツダ(13.9%増の5,791台)が増加した。そのほかのブランドはトヨタが5.3%減の6,655台、スバルが18.1%減の479台、レクサスが28.2%減の257台、ホンダが45.4%減の465台、三菱が50.0%減の1,658台となっている。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、ボルボ(38.7%増の4,281台)、シュコダ(30.9%増の1万6,040台)、ダチア(30.9%増の5,931台)、プジョー(30.2%増の4,879台)、テスラ(8.2%増の8,703台)、シトロエン(5.1%増の4,028台)、セアト(4.7%増の1万1,715台)、現代(1.7%増の9,687台)、フィアット(1.7%増の8,190台)は増加。起亜(6.8%減の6,371台)、ルノー(24.4%減の6,100台)は落ち込んだ。
中国勢はGWM(長城汽車)が164台、NIO(蔚来汽車)が122台、AIWAYS(愛馳)が18台、BYD(比亜迪汽車)が7台だった。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した3月の国内乗用車生産台数は44万1,900台となり、前年同月を67%上回った。輸出台数も64%増えて33万8,800台となった。1~3月の累計は生産台数が前年同期比39%増の114万8,000台、輸出台数が37%増の83万9,100台だった。