フィースマン―米同業に身売りか―

暖房機器大手の独フィースマンが米同業キャリア・グローバルに身売りするという観測が浮上している。ロイター通信などが報じたもので、売却交渉は進展した段階にあるという。関係各社は報道内容へのコメントを控えている。

報道によると、フィースマンを債務込みで120億ドル強(約110億ユーロ)と評価して取引を行う。売却対象となるのは売り上げの80%を占める空調事業で、冷蔵機器事業は対象外。フィースマンのオーナー一族は現金とキャリア・グローバル株を取得するという。

フィースマンはガス暖房の有力メーカー。近年は需要が急増するヒートポンプの生産を急速に強化しており、昨年は売上高が19%増の40億ユーロと大幅に拡大した。ヒートポンプを中心とするグリーンな環境ソリューションに2022~24年の3年間で総額10億ユーロ投資する意向だ。それにもかかわらず身売り交渉を進める背景には、同分野でアジア企業と競争していくには企業規模が小さすぎるという事情があるという。

キャリア・グローバルは複合企業ユナイテッド・テクノロジーの分割で2020年に設立された企業。直近の売上高は204億ドルで、その60%を北米・南米市場で確保した。欧州は23%にとどまっている。フィースマンを買収すれば、急成長中の欧州市場で勢力を強化するとともに、事業のグローバル化を推進できる。

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