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2012/5/30

経理の新情報

保有目的の株式の減損処理

この記事の要約

保有目的で取得した株や関連会社の株式などの金融資産は、原則的に取得原価で評価されます。保有株の実質価額が取得原価を下回り、その株価減少が長期間にわたって継続する場合のみ、保有株は実質価額で評価することができます(所得税法 […]

保有目的で取得した株や関連会社の株式などの金融資産は、原則的に取得原価で評価されます。保有株の実質価額が取得原価を下回り、その株価減少が長期間にわたって継続する場合のみ、保有株は実質価額で評価することができます(所得税法第6条1項2号1段)。上場株の場合、税務当局は下記の条件を満たした上場株に対して株の減損処理を認めていました。

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1. 決算日の株の実質価額が取得原価と比較して40%以上減少した場合

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2. 決算日の株の実質価額と前年度の決算日の実質価額が取得原価と比較して25%減少した場合

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しかし連邦財務裁判所は2011年9月21日の判決で、現行の税務当局の見解を否定し、上場株の決算日の株価が取得原価より5%以上減少した場合、長期間にわたって株価が減少したとみなし、減損処理することができると判断しました。従来決算日以降の株価と決算書作成日の株価を比較し、決算書作成日まで株価が回復していなければ長期間にわたって株価が減少していると判断してきましたが、それも今回の判決で決算日の株価が決定的であるとし、決算日以降の株価の変動を決算に考慮することはできないと指摘しました。

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留意すべき点は、法人税法上資本会社が保有する上場株の減損処理による利益減少は認められておらず、決算数値に影響がでることはありません。人的会社では上場株の現存処理は部分課税法により税法上60%のみ損金計上されます。

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上場株の株価が再び回復した場合は、取得原価を限度額として戻し入れを行わなければなりません。

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