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2023/5/26

ドイツ経済ニュース速報

低水位対応の河川用タンカーをBASFが投入

化学大手のBASFは26日、河川の水位が大幅に低下しても運航可能なタンカーの進水式を西南ドイツのルートヴィヒスハーフェンにある本社工場で行った。同工場が原料と製品の輸送に使うライン川の水位低下が地球温暖化を背景に近年、頻繁に起こり、物流に大きな支障が出るようになっていることから、同タンカーを建造した。 欧州はここ数年、毎年のように猛暑に襲われている。この結果、物流の大動脈であるライン川では水位が極端に下がり、船舶が航行を停止したり、積荷を大幅に減らすことを余儀なくされている。 ルートヴィヒスハーフェン工場は2018年、水位低下で原料が不足し生産停止に追い込まれた。輸送費も高騰したことから、BASFの利益は大きく押し下げられた。同工場にとってライン川は生命線であり、輸送の40%を依存している。 この経験を受け、同社は喫水線の浅いタンカー「ストルト・ルートヴィヒスハーフェン」を建造させた。全長は135メートル、横幅は17.5メートルで、最大積載能力は5,100トンに上る。 ライン川ではライン渓谷中流のカウプで水深が特に浅く、交通のボトルネックとなっている。ストルト・ルートヴィヒスハーフェンはカウプの水位が1メートル(水深は2メートル30セント)でも従来型船舶の2倍の2,300トンを積載できる。同30センチ(1メートル60センチ)まで下がっても800トンの輸送が可能だ。 同タンカーは2021年半ばから23年にかけて中国で建造され、その後、オランダのアムステルダムで艤装が行われた。公試運転を経てすでに4月末から化学品の輸送業務に投入されている。