独エネルギー大手RWEの再可エネ子会社イノジーは7日、フランクフルト市場で新規株式公開(IPO)を実施した。初値は公募価格(36ユーロ)を3.6%上回る37.30ユーロ。上場規模は50億ユーロで、ドイツで16年ぶりの大型IPOとなった。
RWEは今回のIPOでイノジー株25%を公開した。手元に残った75%も今後、放出していく。ただ、過半数資本を保持し子会社にとどめる考え。RWEは原子力発電を廃止し再可エネを増強するドイツの「エネルギー転換政策」を受けて業績が悪化しており、公開益のうち約30億ユーロを債務の圧縮に充てる。
公募価格をもとに計算すると、イノジーの時価総額は200億ユーロで、RWEの同約80億ユーロを大幅に上回る。イノジーが将来性の高い再可エネ事業を展開するのに対し、RWEはエネルギー転換政策で業績が悪化した火力などの在来型発電事業を抱えており、その差が反映された格好だ。
競合エーオンも再可エネと火力発電事業などを分離したうえで、火力発電を手がける新会社ユニパーの株式を9月に公開した。
ドイツでは2000年にドイツポストが総額58億ユーロのIPOを実施した。イノジーの上場規模はこれ以降で最大。ドイツIPO史上でも4位に付けている。