コンテナ海運世界最大手のマースク・ライン(デンマーク)は1日、同業ハンブルク・シュドを独複合企業エトカー・グループから譲り受けることで基本合意したと発表した。海運業界では過剰な輸送能力と運賃下落を受けて構造不況が続いており、各社はM&Aや提携を通して収益力の改善に注力。マークスも事業の拡大に買収を活用していく方針を9月に打ち出していた。今後はハンブルク・シュドの資産査定を行ったうえでエトカーと最終契約を締結。独禁審査を経たうえで来年末までに買収手続きを完了する考えだ。
ハンブルク・シュドは1871年の創業で、エトカーは1936年に資本参加。55年に完全子会社化した。
ハンブルク・シュドはコンテナ船130隻を運行し、輸送能力は62万5,000TEU(20フィートコンテナ換算)に上る。コンテナ海運業界では世界7位で、ドイツではハパックロイドに次ぐ2位に付けている。世界250カ所以上に事務所を持ち、雇用規模は5,960人。昨年の純売上高は60億5,700万ユーロだった。
マースクは同社の買収により、輸送能力を約380万TEUに拡大し、同世界市場シェアを15.7%から18.6%へと引き上げる。コンテナ船の運行数は741隻となる。
ハンブルク・シュドと同社のブラジル子会社アリアンサはマースクによる買収後も現在のブランド名で事業を展開する。
ハンブルク・シュドは2013年、ハパックロイドと合併協議を行ったが決裂。ハパックロイドはこれを受けチリ同業CSAVとコンテナ事業を統合した。中東のユナイテッド・アラブ・シッピング・カンパニー(UASC)とも年内に合併する予定だ。
エトカーはハンブルク・シュドを売却すると売上規模が半減。食料品とアルコール飲料が売り上げの大半を占めることになる。