産業ロボット・ファクトリーオートメーション大手の独クーカは15日、北米の航空機産業向け事業「クーカ・システムズ・エアロスペース・ノース・アメリカ」を米競合アドバンスド・インテグレーション・テクノロジー(AIT)に売却すると発表した。中国の美的集団によるクーカ買収計画を審査している米当局が安全保障上の懸念を示したため同事業を放出。買収計画に対する当局の承認を獲得する考えだ。取引金額は公表しないことで合意した。
美的集団はクーカに対し友好的な株式公開買い付け(TOB)を実施し、同株94.55%を確保した。現在、関連国・地域の当局が買収審査を行っている。
クーカは北米で軍用機向け事業を展開している。このため米国への直接投資(FDI)が国家安全保障に脅威とならないかを調べる対米外国投資委員会(CFIUS)と米国国務省国防貿易管理局(DDTC)が難色を示していた。クーカ・システムズ・エアロスペース・ノース・アメリカでは民間機向け事業も手がけているが、軍用と民生用事業を明確に区分することができないため、クーカは同事業をAITに全面売却する。