鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは12日、軍用船向け電子機器製造の合弁会社アトラス・エレクトロニクの資本49%を欧州航空宇宙大手エアバスから譲り受け完全子会社化することで合意したと発表した。エアバスが同持ち分の放出方針を打ち出したことから、買収交渉を進めてきた。取引金額は非公開。買収手続きは独政府、独禁当局の承認を経て完了する。
エアバスは2014年9月、業績不振の軍用製品分野の経営資源を戦闘機、軍用輸送機、誘導ミサイルに絞り込み、総額20億ユーロの事業を放出する方針を発表。ソナーや魚雷を手がけるアトラスの持ち分などを売りに出した。
ティッセンクルップは当時、軍用船事業からの撤退を検討していたため、今回の合意が成立するまでに2年以上の時間がかかった。今後は軍用船部門ティッセンクルップ・マリン・システムズとアトラスの協力関係を強化し、顧客ニーズに柔軟に対応できるようにする考えだ。