VW前監査役会長の影響力、大幅に低下へ

自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の親会社ポルシェ・アウトモビル・ホールディングSE(ポルシェSE)は3日、フェルディナント・ピエヒ監査役(VWの前監査役会長)が保有するポルシェSE株の大部分を同社の共同出資者であるポルシェ家とピエヒ家のメンバーに譲渡することで合意したと発表した。ポルシェSEはVWの議決権付き普通株を52.2%保持していることから、ポルシェSEを通したピエヒ氏のVWに対する影響力は今回の合意により大幅に低下。数十年に及ぶ同氏のVWへの関与は実質的に終止符を打つことになる。

ピエヒ氏はVWの社長および監査役会長として、長年にわたって大きな影響力を行使してきた。だが、2015年にマルティン・ヴィンターコルン社長(当時)を辞任させようとしたところ、VWグループ内で孤立。従弟であるポルシェSEのヴォルフガング・ポルシェ監査役会長(VW監査役)もヴィンターコルン社長の支持に回ったため、ピエヒ氏はVW監査役会長を同4月に辞任した。

ヴィンターコルン社長を巡る争いの結果、ピエヒ氏とヴォルフガング・ポルシェ氏の関係は一気に悪化し、これがポルシェSEとVWに影を落としてきた。ピエヒ氏が保有するポルシェSE株の大部分を手放せば、こうした問題は解消されることになる。

メディア報道によると、ピエヒ氏はVWの排ガス不正問題を捜査する独検察当局に対し、VWの取締役とヴォルフガング・ポルシェ氏を含む監査役は同問題を15年9月の発覚以前に把握していたにも関わらず、不正の事実を隠匿していたと主張。当時のVW役員に法的な責任があるとの見方を伝えた。これに危機感を持ったポルシェ家とピエヒ家のメンバーが働きかけてピエヒ氏からのポルシェSE株買い上げに動いたもようだ。

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