世界的なサイバー攻撃、ドイツ鉄道で被害

12日から全世界的に仕掛けられているサイバー攻撃の被害はドイツでも出ている。ドイツ鉄道(DB)の駅の電光掲示板には同日午後、「あなたのデータは暗号化された」との文字が表示され、同社のシステムがウイルスに感染したことが分かった。連邦内務省は15日、攻撃はほぼ食い止められたとの見解を示したものの、専門家らは新たな攻撃が今後、始まる可能性があるとしており、引き続き注意が必要だ。

今回の攻撃に使われているのは身代金要求型のウイルスである「ワナクライ(WannaCry)」という名のランサムウエア。感染するとコンピューター上のファイルが暗号化され、ユーザーはアクセスできなくなる。また画面上には、暗号を解除したいのであれば、仮想通貨ビットコインで「身代金」を支払えとのメッセージが表示される。システム内の1台が感染すると、OSシステム「ウィンドウズ」の脆弱性をついて、ひとりでに拡散するため、被害が大きくなる。欧州警察機関(ユーロポール)によると、世界150カ国以上の計20万の個人・機関が被害を受けた。

DBでは早期発見システムが作動したため、被害を一定程度に防ぐことができた。列車の運行には支障が出ていない。

欧州企業では仏自動車大手のルノーも感染し、複数の工場で生産停止に追い込まれた。英国では医療保健当局NHSが攻撃を受けたことから、手術の中止・延期に追い込まれる病院が相次いだ。

IT専門家は英BBC放送に、今回のサイバー攻撃はひとまず食い止めることができたものの、犯人は新たな攻撃を仕掛ける可能性が高いと語った。ワナクライのプログラムを修正することは簡単なため、犯人が攻撃を止める理由はないとしている。

独連邦情報技術セキュリティ庁(BSI)のアルネ・シェーンボーム長官は、DB以外にも被害を受けたドイツ企業があると述べたうえで、感染は今後さらに広がる可能性があると指摘。全体像を掌握するには数日から数週間を要するとの見方を示した。

専門家はユーザーに◇感染したコンピューターをネットワークから切断する◇不審な電子メールを開封しない◇身代金を支払わない――よう呼び掛けている。

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