カナダ小売大手ハドソンズ・ベイ・カンパニー(HBC)が展開する都市型アウトレット「サックス・オフ・5TH」のドイツ1号店が8日、デュッセルドルフでオープンした。同アウトレットは高級ブランド品を低価格で提供するという事業モデルを採用しており、独衣料品小売大手のピーク・ウント・クロッペンブルク(P&C)やブロイニンガーは対応を迫られそうだ。
サックス・オフ・5THは高級ブランドの売れ残り品などを最大70%引きで販売するアウトレット。ドイツのアウトレットが一般的に郊外にあるとは異なり、都市中心部に店舗を構えるのが特徴だ。ファッションに敏感な消費者や、高級衣料品やバッグを定価購入できない若年層をターゲット顧客としている。
デュッセルドルフ店はハインリッヒハイネ広場にあったカウフホーフ(HBC子会社)の傘下デパート「カルシュハウス」を閉店・改装して、オープンした。計5フロアからなり、床面積は3,500平方メートル。例えば定価450ユーロのジミー チュウのハイヒールを199ユーロで販売している。
今後はフランクルト店を22日、ヴィースバーデン店を29日、ハイデルベルクとシュツットガルト店を7月6日に開店する予定だ。最終的にドイツ国内で40店舗、欧州で200店舗の展開を予定している。
サックス・オフ・5THがドイツの高級ファッション用品市場にもたらす影響は極めて大きいとみられている。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』の委託でコンサルティング会社ハッハマイスター・プルス・パートナーが実施した調査によると、サックス・オフ・5THデュッセルドルフ店の年間売上高は最大3,000万ユーロに達する見通し。これは同市の高級ファッション用品市場全体の約15%を占める規模で、既存店は売り上げを奪われる懸念がある。
ドイツの衣料品小売事業者は警戒感を示しており、ブロイニンガーのヴィリー・エルゲル最高経営責任者(CEO)はHB紙に、「(サックス・オフ・5THの)コンセプトを詳細に分析したうえで適切に対応する」考えを示した。P&Cは高級ブランド品を「看板」と位置づけており、自社店舗とサックス・オフ・5THで取り扱うブランドの重複に注意を払う意向だ。