人工透析のFMCが米社買収へ、在宅透析事業を強化

人工透析の機器製造からサービスまでを垂直統合で手がける独フレゼニウス・メディカル・ケア(FMC)は7日、米同業ネクステージ・メディカルを株式公開買い付け(TOB)で買収する計画を発表した。在宅透析事業を強化し、同分野で世界最大手になることが狙い。ネクステージの経営陣はTOB計画を支持しており、FMCは株主の承認と当局の審査を経て買収手続きが来年に完了すると見込んでいる。

ネクステージの普通株を1株当たり30ドルで買い上げる。これは前営業日に当たる4日の終値を約30%上回る水準で、買収総額は約20億ドルに上る。

在宅透析は自宅に透析機械を設置して患者が自分自身ないし介助者の助けを借りて血液を透析する療法。一回当たり数時間の透析を週に数回、病院で受ける従来型の療法に比べて患者負担が小さいメリットがあり、米国では患者の12%が利用している。

ネクステージは1998年に設立された在宅透析器のパイオニアメーカー。従業員数は約3,400人で、昨年は3億6,600万ドルを売り上げた。開発コストや事業拡大投資が響いて赤字が続いており、昨年は純赤字470万ドルを計上した。

FMCは同社の買収により北米事業の幅を拡大するとともに、世界に3,700カ所ある系列の人工透析センター網を通して在宅透析器を販売していく考えだ。

シナジー効果は買収後3〜5年で年8,000万〜1億ドル(税引前利益ベース)を見込む。ネクステージの統合コストは買収後3年で計1億5,000万ドル(同)を予想している。

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